『８話が苦しい。』
戦闘シーンはなかなかの迫力。チャンバラはかくあるべしといった感じで、剣を振り回してもショボ過ぎて緊張
も何も伝わらない作品もある一方で、今作はダイナミックでスピード感溢れる。刃を交える一瞬ごとに死線をく
ぐり抜けるクレイモアの冷徹な魂が音もなく軋むようです。キャラクターにも凄味があり緊張感十分の作品と言
えるでしょう。ただちょっとばかしエグ過ぎる内容にげんなりもします。８話は強烈でした。人物の内面の機微
を大事にしているぶん、感情移入して見ていると導き出された残酷な結果が非常に重苦しく、リアルな描写に吐
き気を覚える人もいるでしょう。Ｒ指定にして然るべきといった印象を持ちました。誰もが見てほしいと言える
内容ではありません。ただし作品全体として残酷な描写を目的や見せ場にしているわけではないと、恐らく違う
だろうと推測されますから、そういう部分ばかりクローズアップしてとやかく言うのもどうかとは思います。ク
レアが人間的な感情を深く刻み込むものとして《心の傷》に触れながら修羅の道を歩むとすれば、決意の底に形
容しがたい痛みがある。苦悩に満ちたヒロインの切実な背景として微笑のテレサの追憶は氷の如く時に炎の如く、
その銀眼の奥にほとばしるのでしょう。そのことを深く印象づけるためには避けてとおれない描写であったと考
え、今後の展望に思いを馳せたいと思います。こうなったら最後まで付き合うしかありませんな。