“永遠の若大将”としてのパブリック・イメージが定着しているせいで、60年代の加山雄三が、日本の音楽シーンの中でいかに革新的な存在だったかという事実がこれまであまり語られてこなかったのは残念でならない。日本で初めて多重録音を行なった先駆者であり、デビュー・アルバムが全曲英語詞のオリジナル作品だった等の音楽的業績は、もっと再評価されるべきではないだろうか?本盤は、そうした加山雄三のミュージシャンとしての志が、いまだ高い位置にあることを痛烈に印象づける快作と言っていいだろう。「オリジナルを超える完全コピー」をテーマに掲げ、すべての演奏をひとりでこなした多重録音によるセルフ・カバー集で、ミキシングまで自ら手がけるというこだわりぶり。「お嫁においで」がこんなに良い曲だったとは! 40年前のアルバム『恋は紅いバラ』を見事に再現したジャケットも素晴らしいの一言に尽きる。(木村ユタカ)
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