1998年リリースの記念碑的1stフル・アルバム。この年と言えば、スチャダラがサウンドをグッとソリッドに変化させた『fun-keyLP』を、ソウルセットは日本語ヒップホップの極北『Jr.』を、そしてライムスターは12inch「B-BOYイズム」を即完。J-HIP HOPバブルは弾け、中堅たちはさらに音楽的にストイックに、若手は日本各地で細分化され、もっと身近なセンスのある者が頭角を表した。このアルバムの2曲目でMellow YellowのKoheiがリップを紹介する「ジャズよりスウィング、ロックよりハード、エンカよりディ―プ、ボサノバよりスマート、時にラテンのように情熱的」というリリックはまんざら誇大広告じゃない。ダルなんだけど、音楽的には粋という時代感がヒシヒシと。(石角友香)
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