『ミュージシャン吉井和哉の集大成』
中学生でTHE YELLOW MONKEYを知ってのめりこんでいった自分にとって、ソロになってからの吉井和哉の活動にはさほど興味を持てなかった。確かに吉井和哉の作る音楽ではあるのだが、バンドと比べて華がない、一人で内にこもってしまったような楽曲に違和感を感じたのだ。坊主になっても『jaguar?』の頃のような狂気のオーラは感じなかった。
だが、そもそもバンドとソロを比べたりすること自体ナンセンスなんじゃないか。終わってしまったバンドと、これからも続いていく彼の音楽。バンドが終わったとしてもいつまでも色褪せずに残っていく楽曲の輝き。この作品で、かつての艶っぽさとは別の魅力を放ちつつも、以前と変わらずに客を盛り上げ、何かに憑りつかれたように歌う彼の姿にそんなことを感じた。
正直な話、バンド時代の楽曲満載のボーナスディスク目当てで本作の初回版を買ったのだけど、今ではDVDの方ばっか観てます。それほど素晴らしいソロの楽曲、ライブパフォーマンス、何度観ても笑えるMC…ミュージシャン吉井和哉の現時点での集大成と言って差し支えないと思う。もちろん彼と彼の音楽はこれからも進化し続けるだろう。
彼の音楽と出会って10年、その魅力を再発見させてもらった。まさに『THANK YOU YOSHII KAZUYA』なのだ。